ホノルルマラソン・HonoluluMarathon 15年連続でホノルルマラソンに出場したランニングコーチが、ホノルルマラソンの完走のテクニックや魅力をお伝えします。

ランナーの栄養学

レースの日はいつ、どのようなものを食べたらいいのですか?
レース当日
人間は食べ物を食べてから完全に消化するまでおよそ3〜4時間かかります。もちろんこれには個人差もありますし、緊張のために消化の時間が遅れることもあります。レースの日の朝は早起きをして4時間前には食事を済ますことがレース中の腹痛を防止します。当日の朝食は脂っこいものや、消化の悪い繊維質の多い食物を避け、米やパン、パスタなどの炭水化物を主とした食事をしっかり取りましょう。ハワイという異国の地にいる為、普段食べているものがもしかしたら早朝から見つかりにくいかもしれません。だからといって、慣れないものを食べたりするとお腹の調子を壊しレースに影響がでる可能性もあります。近くのお店でなにが手に入るかを前日に調べ用意しておきましょう。レースの前はとにかく水分をたくさん取ることが重要です。カフェインが含まれる飲み物は利尿作用を促すだけでなく、自発的な水分の補給を妨げるのでなるべく控えましょう。


レース中
ある研究では長距離ランナーは1時間に30〜60gの炭水化物(およそ120〜240Kcal)が必要といわれています。最近では液状のもの、ゼリー、またはスナックバーのような固形のものなどレース中でも手軽に摂れるものが出回っているので、利用するのも良いでしょう。
レース中は汗や呼吸によって体内の水分はどんどん失われていく為、水分補給が特に重要です。のどの渇きは脱水症状の始まりで、そのままレースを続けることは怪我や事故につながりとても危険です。水分摂取の目安は15分〜20分に150ml〜350ml(コップに半分〜一杯強の水)。スポーツドリンクは汗によって失われた塩分を同時に補給できますが、糖分が高いものは体内への吸収悪く、腹痛や吐き気を起こす原因になるので糖濃度が8%以下のものを選びましょう。


身体が知らせる脱水症状の信号
☆のどの渇き
☆苛立ち
☆頭痛
☆ふらつき
☆筋痙攣☆吐き気



レース後
レース後の疲労回復力を高める為にもエネルギーや水分の補給をしっかりしましょう。とはいっても、長距離を走った後は消化器系にもかなり疲労がきているはずです。しかし、食欲がないからといって何も食べずにいると後日まで心身の疲労感が残ってしまいます。
量の目安としては、まずレース後30分以内に自分の体重1kgにつき1.5gあたりの炭水化物を摂り、同量かそれ以上を2時間おきに食べるのが身体のグリコーゲンの再合成、エネルギーの補充に効果的といわれています。
   
例)体重60kgの人の場合
    60x1.5g=90g 360Kcalの炭水化物
    90gの炭水化物の例はご飯を大きめの茶碗に一杯、菓子パン1つ、
    バナナ2本、オレンジ4個、またはりんご3個です。

柑橘系100%のジュースは炭水化物(糖分)だけでなく、身体の自然治癒、疲労回復効果のあるクエン酸が含まれているので特にお勧めです

走った後は汗や呼気によって体内の水分が大量に失われます。体重が減るのはそのためで、失われた水分を補給しなければなりません。水分摂取の目安は減った体重0.5sに対して500〜700mlの水や果汁100%のジュース、スポーツ飲料が良いでしょう。


レース中に疲れて完走できないのではないかと心配です・・・
運動中の疲労の原因は次のような理由があげられます。

☆エネルギーの枯渇
☆乳酸値の上昇
☆血液量の減少による酸素の運搬機能の低下
☆体温の上昇
☆セロトニン分泌量の上昇

アスリートは疲れにくい身体をつくる為に、それぞれの参加種目に合わせて肉体的、心理的トレーニングを行い試合に備えます。本番での疲労を防ぐためには日ごろからのトレーニングが重要といえます。しかし、疲労は食事によって遅らせることもできます。ビタミン不足はスタミナを低下させるのでバランスの取れた食事で補いましょう。また、レース中にエネルギーの低下を感じたら炭水化物を含む食べ物で補充し、水分をとって血液量の減少と体温の上昇を抑えることが疲労を防ぎます


バナナを食べると良いと聞きましたが、なぜ良いのですか?
バナナが良いといわれる理由は、発汗による筋肉の収縮に不可欠なカリウムの損失をバナナによって補うことができ、筋肉のけいれんを防ぐことができるからです。バナナ一本に含まれるカリウムの量は350mgとりんごの約3倍です。バナナはそれだけでなく消化吸収もはやいので、グリコーゲンの蓄積にも有効であるといえるでしょう


サプリメントは飲んだほうがいいのですか?
ビタミンやミネラル、プロテイン等のサプリメントを必要以上に摂ったからといって筋力が増えたり持久力がついたりすることはありませんが、これらの栄養素の欠乏によって怪我をしやすくなったり体力が落ちたり回復が遅れたりするなど、レースやトレーニングに影響を及ぼすことがあります。

貧血気味の人や急激に体重が減った人、毎日の食事が不規則な人はこれらの栄養素が不足しがちなので特に気をつけなければなりません。

ほとんどの栄養素はバランスの取れた食事によって十分に摂ることができますが、必要に応じてはサプリメントを利用するのもビタミン・ミネラル不足解消の方法といえるでしょう。しかし、サプリメントはあくまでも補助食です。サプリメントに頼りすぎずにまずはバランスの取れた食事を心掛けましょう。


カーボローディングについておしえてください。
カーボローディングは別名グリコーゲンローディングとも言います。肝臓や筋肉中のグリコーゲンの備蓄を増大させ運動中の疲労を遅らせるというテクニックで、マラソン、トライアスロン、クロスカントリースキーなど、耐久性のスポーツで使われることがあります。
北欧での研究で考案されたカーボローディングは食事制限が1週間から始まり、最初の2〜3日は炭水化物をほとんど摂らないため、体力が無くなる、無気力になる、苛々するなどの症状が起こることがあります。最近の研究では簡単にできるカーボローディングも紹介されています。それは試合の1週間前から3〜4日間は普通に食べ練習量だけを減らしていき、試合の3日前からは食事の炭水化物の量を増やしながら練習量はさらに減らすという方法です。これもまた個人差があり、この方法が身体に合う人もいれば合わない人もいますので、いきなり本番で実行せずに長距離トレーニングの時に試してみるのがいいでしょう。

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